夏バテが原因で胃腸の働きが低下し、下痢になってしまうことがあります。
夏バテで下痢の状態が長く続くと身体が脱水症状になりやすかったり、食事から充分にエネルギーを吸収できずに、なかなか解消しなかったりします。
下痢の症状を止めるために、どんなお薬がよいかまとめました。
目次
夏バテが下痢の原因になる理由
夏バテは自律神経が疲れてしまってうまく働かなくなったときに起きる症状です。
下痢は自律神経の不調から胃腸の働きが低下して起きてしまいます。
夏に自律神経が疲れるのはなんで?
夏に自律神経が疲れてしまうのは、主に冷房・クーラーの効いた涼しい室内と暑い屋外を行き来するたびに、自律神経が体温調整を繰り返すことが原因です。
気温差の激しい室内と屋外の行き来を繰り返すたびに自律神経が働き、やがて疲れてしまった状態が夏バテです。
自律神経は胃腸の消化・吸収といった働きも管理していますので、うまく働かないと下痢の症状がでてしまうことがあります。
薬を使わない方がよい場合
下痢の症状が続くと、日常生活に様々に支障をきたしますし、すぐに薬を飲みたいという方も多いと思いますが、薬を使わない方が良い場合もあります。
特に、下痢と一緒に吐き気や嘔吐がある場合は、食中毒や感染性のものの可能性があります。
また、発熱をともなう場合や、便に白い液状のものが混じっている場合なども感染性のものを疑ってください。
この場合、原因となる悪さをする物質を体外に排出するために下痢症状で体を守っています。薬で下痢を止めてしまうと、原因物質を体内に留めることになってしまい良くありません。
自分の判断で薬を飲まずに、早目に病院で内科を受診した方が安心です。
また、内科では夏バテの診断もしてくれますので、あわせて相談してみてください。
特に子供や幼児の場合は、下痢が続くと脱水症状が心配です。長く様子を見ずに小児科を受信しましょう。
夏バテで下痢のときはどんな薬があるの?
市販薬で夏バテの下痢の症状を緩和・解消したいときに適した市販のお薬はいくつか種類があります。
乳酸菌製剤の下痢のお薬
夏バテの下痢を緩和してくれるお薬として乳酸菌製剤のお薬があります。
有名なのはビオフェルミンで、3種類の乳酸菌が生きたまま腸に届いて、乳酸を生成して腸内を酸性にし、腐敗生成物のアンモニアが出来るのを抑えてくれたり、腸内環境を整えてくれるのを助けてくれます。
乳酸菌製剤は穏やかな効き目が特徴で、強力な下痢止めの作用はないのですが、どのような症状のときでも安心して使えるのが良いところです。
自律神経の乱れによる下痢にロートエキスのお薬
ロートエキスという成分は、自律神経の乱れから大腸が便をすぐに直腸に送ってしまうといった場合の下痢を抑えます。
自律神経の乱れが原因で腸が過剰に運動している状態ですので、腸の運動を活発にする副交感神経の働きを抑えて、お腹の痛みや下痢を抑えます。
ロートエキスが配合されている市販品ではストッパが有名で、急激な下痢にはとても効果があります。
ただ、この薬が適していない人もいることに注意してください。
副交感神経をブロックする働きをしますので、心臓病・潰瘍性大腸炎・甲状腺機能亢進症・緑内障・前立腺肥大・腸閉塞・出血性大腸炎の方などは使用できません。
持病をお持ちの方は、お医者さんに相談してから下痢の薬を選んだ方が良いでしょう。
木クレオソートのお薬
木クレオソートというとなじみがないかもしれませんが、伝統的なお薬「正露丸」の成分です。
腸の運動を正常に戻し、腸の中の水分量を調節することで下痢を改善します。
ちなみに、正露丸は腸の働きを完全に止めるわけではありませんので、食あたり水あたりが原因の下痢の際にも効果があります。
漢方薬で夏バテの下痢に適しているのは?
夏バテで下痢の症状にお悩みの時に適した漢方薬もあります。
漢方薬は体質の改善にも主眼をおいたお薬で、何度も下痢の症状にお悩みなら、一度ためしてみるのもおすすめです。
下痢に適した漢方薬「補中益気湯」
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、胃腸の働きを整えて元気を補う働きをします。
漢方薬の考え方で生命の根本である「気」を生み出し、胃腸の消化・吸収を整え、病気に対する抵抗力を高めるとされています。
全身がだるい・倦怠感や食欲不振、疲れやすい、気力がわかないといった場合にも使われる漢方薬で、夏バテによる食欲不振にも使われます。
下痢に適した漢方薬「五苓散」
漢方薬の考え方で下痢は「気・血・水」の3つの要素のうち「水」が不調をきたして現れる異常と考えられています。
五苓散(ごれいさん)は「水」の働きを改善する漢方薬のなかでも代表的なもので、下痢のほか、暑気あたり、むくみ、頭痛、二日酔いの吐き気などにも使われます。
下痢に適した漢方薬「六君子湯」
六君子湯(りっくんしとう)は消化器系の機能を高める漢方薬で、体力が中程度以下の方の胃腸薬として使われます。
夏バテの症状である全身のだるさや倦怠感のある方の食欲不振なども使用の目安です。胃痛や消化不良などにも使われる漢方薬です。
薬を飲んでも下痢も夏バテも改善しないときには?
下痢止めの薬を飲んでも症状が改善しない時には、ポリープなど胃腸のどこか物理的に不具合を生じている場合があります。
どこかに病気が潜んでいる可能性も考えられますので、早目に病院の内科を受診するようにしてください。
目安としては4~5日程度お薬を飲んでも、下痢も夏バテも改善しないようでしたら病院を受診するようにしましょう。
ただ、目安は目安なのでご自身で「おかしいな?」と感じられるようでしたら、お医者さんに相談するようにしましょうね。
いちばんの夏バテ対策とは?
夏バテからくる下痢のときに適したお薬をご紹介してきましたが、夏バテにいちばん効果のある対策はよく寝ることです。
自律神経はじめ身体が疲れた状態で起きるのが夏バテです。
暑い夏の夜は寝苦しく、うまく疲れがとれないこともありますが、ゆっくりぬるめのお湯で長めに入浴するなど、睡眠の質をあげる工夫をしてみてくださいね。
ちょっとしたひと工夫で、ぐっすり眠れた! ということもあるのが睡眠です。
ぜひ快眠にこだわって、2020年の夏を乗り切りましょう!